HISTORIC SEASON 2017

Porto POR

8年ぶりのポルトでの大会。思わぬアクシデントにより、プラクティスの機会を失う不利な展開ながらも、信頼のチームワークと強靭な精神力で6位に食い込む。

9月2日・3日、Red Bull Air Race World Championship 2017ポルト大会が開催された。
ポルトでレースが行われるのは、室屋がレッドブル・エアレースに初参戦した2009年以来で8年ぶりとなる。

予選前日(金曜日)に行われたフリープラクティス1、2でTeam FALKENの機体がハンガーから出てくる事はなかった。木曜日のレースエアポート着陸後の点検で機体の胴体フレームに亀裂が見つかった為、修復に取り掛かっていたのだ。

仮設のハンガーでは、修理を行おうにも材料の入手から、特殊な工具の手配まで、様々な困難を伴ったが、世界屈指の技術とネットワークを持つ各国のスタッフのチームの垣根を超えた協力により、不可能と思われた鋼管フレームの修復作業を終えることができた。

その結果、土曜日の正午にはTeam FALKENの機体はトラブルから見事回復。ポルト大会のレーストラックでの初フライトとなるフリープラクティス3では1:08.539秒(ノーペナルティ)を記録し7位に付けた。

その後に行われた予選では、1:07.972秒(ノーペナルティ)とタイムを上げ、トップと+0.780秒差で予選3位。レース前日に2回のプラクティスをキャンセルしたハンディを感じさせないフライトを見せた。

迎えた決勝日のRound of 14ではピーター・ポドランセック選手(スロベニア)と対戦。室屋はここでも前日までトラブル見舞われていたことを感じさせない安定したフライトで1:07.819秒(ノーペナルティ)を記録し勝利。

続くRound of 8では、はからずもワールドチャンピオンシップポイントが同じであるマルティン・ソンカ選手(チェコ)と対戦。シリーズポイントを引き離す意味を持つ重要な戦いであったが、室屋はここで、スタート速度超過という思わぬペナルティ(1秒)をもらい1:08.414秒を記録。この1秒のペナルティが影響し、惜しくもRound of 8で敗退となった。

レース終了後、「今回のレースは、コース手前にある橋を越えてから一気に降下してスタートゲートに向かうため、速度が大きく変化しやすかったことに加え、スタートスピードが(通常の200ノットではなく)180ノットに制限されていたので、ただでさえスピードが出やすい機体のコントロールが非常に難しかったです。(コース解析担当の)ベンとも、今回のスタートは気を付けなければいけない、と話していたのですが、そのスタートのところで少し熱くなってしまいました。メンタル的な部分が今回の自分の中での反省点です」と語った室屋。実際、スタートゲート通過時の速度は、181.07ノット。ほんのわずか、100分の7ノットの超過が勝敗を分けた結果、ポルト大会の記録は6位、ワールドチャンピオンシップポイント5ポイントを獲得。年間総合ランキングは4位となったが、まだ、シリーズチャンピオン争いから大きく退いたわけではない。Team FALKENは残る2戦に向け準備を進め、年間総合優勝に向け巻き返しを計る。