HISTORIC SEASON 2016
Spielberg AUT
新たな翼で挑むも、不安定なコンディションと不運が重なりDNF。 次戦、ホームレースに向けて、調整を加速させる。
オーストリアを代表するフォーミュラ1のレーストラックが会場。Team FALKENは新たな味方を加えて参戦する。
室屋にとってホームレースとなる千葉の大会を6月に控え、その前哨戦とも言えるレースが来る週末にオーストリア・シュピールベルクのRed Bull Ringで行われる。山々に囲まれ天候の変動が激しいシュピールベルクのレーストラックで、室屋はこれまで苦戦を強いられており、昨年と一昨年のシュピールベルク戦では第1ラウンド突破を果たせずに敗退した。しかし、レーストラックのコンディションを変えることはできないものの、日々開発と改良に努めるチームは、新たな武器となる小型の“ウィング”を引っさげて、オーストリアの中央に位置する緑豊かなシュタイアーマルク州入りした。
主翼の先端に取り付けられた小型のウィング(レイクド・ウィングチップ)は、旋回時に空気抵抗を減らすためのもので、今回のシュピールベルク戦での導入に向けてチームは2016年の開幕戦直前から急ピッチで新しい小型ウィングチップの開発に取り組んできた。また、隣国スロベニアでもこのウィングを実装した状態で密かにテストフライトを続けていた。今週末、いよいよその姿が明らかとなる。
また、10月のシーズン終了を表彰台の上で祝うことが目標のチームにとって喜ばしいニュースがもうひとつ。唯一日本から参戦する室屋の挑戦に賛同し、新たにLEXUSがパーソナル・スポンサーに加わったのだ。室屋は「LEXUSとの新たな結びつきを通じ、我々のチーム運営にも一層力が入りますね。これからが楽しみです。」と語っている。
日本の地元をはじめ各地で数々のイベントをこなしながらも、室屋の視線はすでにシュピールベルク戦へとまっすぐ向けられている。また、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県の出身である室屋は、今回の度重なる地震にふれて次のような心からのメッセージを送っている。
「熊本、そしてエクアドルの地震がもたらした大きな被害を知り、Team FALKEN全員深く心を痛めています。我々の心は被災地のみなさんとともにあります。みなさんのご無事と一刻も早い復興を願ってやみません。」
向かえたレースディ。昨年同様にコンディション変化の激しい週末となった。
開催地のシュピールベルクは山間に位置し、4月22日(金)のトレーニングまでは晴天だったものの、予選の23日(土)は一転して雨となり、決勝の24(日)には時折雪が降るなど、昨年同様、コンディションが大きく変化した週末となった。
23 日(土)に行われた最終のトレーニングセッションでは2位のタイムを叩き出した室屋だったが、セッションの途中からスモークが出なくなり、予選前に緊急修理をしてスモークが出るのを確認したものの、結局予選では両アタック共にスモークが出ず、それぞれ1 秒のペナルティを与えられ10 位で決勝を迎えた。その決勝1回戦目Round of 14の対戦相手は同期で、過去4回対戦しているマティアス・ドルダラー。
しかし、アブダビ大会で導入された新たなG メーターを、今大会前にユニットごと交換した上、スモークが出ないという原因不明のトラブルに見舞われ、決勝直前にスモークシステムを全交換した室屋の決勝での出走順はHeat 1の先行。日々変わるコンディションの為、手探りでの出走となり、強敵に対してギリギリところを攻めた結果、1週目最初のターンでオーバーG(規定の重力加速度を超過)となってしまい、前戦に続いてDNF(失格)となった。トレーニングでは好タイムを叩き出していただけに、システムトラブルと続くオーバーG に対して室屋は「スモークが出なかったり、雪が降ったり、1番手で飛んだりと何か噛み合わないレースでした。2戦連続でオーバーG に悩まされているので、次戦に向けて機体の改良を進めつつ、対策を練ってきたいと思います。これまでの2 戦は非常に悔しいですが、次はホームですので、機材もあるしトレーニング環境も含めて余裕が出るので、歯車をきちんと噛み合わせて前に進んでいきたいと思います」とコメントした