HISTORIC SEASON 2015

Fort Worth USA

室屋/チームファルケンが自身初の快挙達成! 1シーズン2度目の表彰台に立つ!

レッドブル・エアレース フォートワース・テキサス大会レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップの2015年シーズン第7戦が行われたアメリカ・テキサス州のテキサス・モーター・スピードウェイは連日30度を超える暑さに見舞われたが、今シーズン、改良を重ねてきたエンジンの冷却システムも順調に作動し、土曜日の予選で室屋は55秒610の好タイムを記録。その直後に飛んだマティアス・ドルダラー(ドイツ)がこれを0.026秒上回り、室屋はわずかの差で自身初となる予選トップの座を逃したが、「計算通りの良い出来でした。1本目は真ん中くらいの順位まで行けるように手堅く飛んでタイムを出し、2本目はリスクを負ってギリギリまで攻めた結果、シミュレーション通りの良いタイムが出ました。どこのチームも最適のラインを見つけるのに苦労していると思いますが、うちのチームはそのへんをかなり準備してきたので、アドバンテージがあるのではないかと思います」と笑顔で語った。

今季の室屋はこれまでに予選2位に2度(第3、4戦)つけながら、いずれも最終結果はラウンド・オブ・14敗退に終わるという経験をしているが、「過去2回は、予選2位にもかかわらずラウンド・オブ・14で強い相手と当たるというアンラッキーがありましたから」と気にする様子は見せず、「今回は順当に行けばファイナル4まで勝ち上がれると思います」と、強い自信を伺わせた。そして、室屋は翌27日のレースデイで、その言葉通りの結果を見せる。

 

まずラウンド・オブ・14では、予選13位のピーター・ベゼネイ(ハンガリー)と対戦し、先に飛んだベゼネイがインコレクトレベル(ゲートを水平に通過せず)を犯してペナルティタイム2秒を加算されたのを聞くや、安全なライン取りに変更。「ラインを変えすぎて不安定になってしまいました」と苦笑いを浮かべるフライトになりながらも、結果は1秒以上の差を残す快勝。

続くラウンド・オブ・8では、予選8位から勝ち上がってきたニコラス・イワノフ(フランス)と対戦。ここでもまた、先に飛んだイワノフが4秒のペナルティタイムを加算(スタートスピード超過とパイロンヒット)された後とあって、無理のない落ち着いたフライトを披露し、ノーペナルティで飛び切り、3秒近い差で楽々と勝利。ラウンド・オブ・14とラウンド・オブ・8は、いずれのフライトもタイム的には物足りないものではあったが、室屋は「それは予選で良いポジション(2位)にいなければできないことですから」と話し、まったく不安を感じさせなかった。それどころか、余裕を残して勝ち上がれたからこそ蓄えられたパワーを爆発させるべく、ファイナル4で勝負に出る。

ファイナル4では最初に飛んだマルティン・ソンカ(チェコ)がインコレクトレベルに加え、パイロンヒットによる5秒のペナルティタイムを加算される結果に終わったことで、室屋にとっては今季2度目の表彰台がグッと近づいた。そして2番目のポール・ボノム(イギリス)が55秒285と、風が強くなったラウンド・オブ・8以降では誰も出せなかった55秒台のタイムを記録し、さすがの強さを見せつけた後、いよいよ室屋の出番となる。

「ポールが良いタイムを出したので、目一杯プッシュしていきました」と振り返る室屋は、勝負をかけて果敢に攻めのフライトに打って出た。実際、中間(1周目)ラップではボノムのタイムにわずか0.033秒差と肉薄。しかし、その中間ラップ計測地点である第8ゲート(2周目のスタートゲート)で痛恨のパイロンヒット。この瞬間、悲願の初優勝の夢はついえたが、それでも動揺することなく、残りのフイトをミスなくまとめた室屋はソンカのタイムを大きく上回り、この時点で2位。最後に飛ぶホールを残し、室屋の3位以上が確定。結局、ホールに抜かれはしたが、室屋は今季第5戦(アスコット)以来の3位となり、通算3度目の表彰台に立つとともに、1シーズンで2度の表彰台に立つという自身初の記録も作った。

予選2位から順当な勝ち上がりの末に手にした3位という結果は、室屋自身もさらに上を狙える手応えを得るものとなった。室屋は「一番になるにはもうひと山越えなければなりません」と、ポール、マットという2強のライバルの力を認めつつも「勝てるだけの材料が揃ってここまで良い形で来ているので、最終戦ラスベガスは勝ちに行きたい。ファイナル4で勝つのはハードルが高いですが、残り2週間で詰めていきたいです。」と初優勝に向けた意気込みを語った。