HISTORIC SEASON 2019

Lake Balaton HUN

予選から続いた想定外の事態に苦戦した今大会。 Round of 14で惜敗し12位に終わるも、決勝ポイント2を獲得し、年間総合順位3位に踏みとどまる。

7月13日(土)・14日(日)、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2019第3戦がハンガリー・バラトン湖で開催された。

バラトン湖での開催は今大会が初めて。スピードが出やすい直線的なコースな上、これまでのブダペスト市街地を流れるドナウ川上に設定されたトラックよりも広い空域の中で様々なライン取りが可能なことから、3回訪れるターンのライン取りがレース攻略最大のポイントとなることが予想された。

予選前日におこなわれる予定だった2回のフリープラクティス(以下FPと表記)は、悪天候によりキャンセルとなり、予選日におこなわれるFPが予選前最初で最後の実戦コースでのフライトの機会になる中、Team FALKEN(室屋)もいくつかの想定したラインを試しながら、風向きによって変わる最速ラインを絞り込んでいった。

迎えた予選。
年間総合ランキング1位の室屋の予選フライト順は、全選手のうち1番最後。1フライトで2回のアタックをおこない、速いほうのタイムが予選結果として記録されるルールになっている。

1回目の予選フライトは、チームの戦略通りのラインで58.846秒(ノーペナルティ)を記録。レースコントロールからの無線で予選ポイント1を獲得できる3位につけたことを確認した室屋は、2回目は最速ラインを探るフライトの機会とし、決勝日の風向きを想定して目一杯攻めたフライトをおこない、1:00.326秒(ペナルティ+3秒・Exceeding Start Speed Limit/ Crossing The Track Limit Line/ Over G)。ペナルティの3秒を除くと57秒台前半のタイムで、風向きを考慮したコース取りにも手応えを感じていた。

予選3位、予選ポイント1を獲得して予選を終えたはずだった。
しかし、予選終了後しばらくしてチームに告げられたのは“1回目の予選フライトでCrossing The Track Limit Line+1秒のペナルティがあったため59.846秒となり、順位は9位に変更”という受け入れがたい裁定であった。チームはレースコミッティに対してアンフェアなタイミングでのペナルティ加算に強く抗議したが、結果が覆ることはなかった。

気持ちを切り替えて迎えた決勝当日。
Round of 14では予選6位のマット・ホール選手(オーストラリア)と対戦。先攻でフライトした室屋は、上空で風を上手く利用するコース取りを選択しトラックインするも、トラック上では予報に反し風が収まり、思ったようなタイムが出ず1:01.016秒でフィニッシュ。ノーペナルティのクリーンなフライトではあったが、後攻のマット・ホール選手が59.232秒を記録したことから、悔しくもRound of 14で敗退となった。

室屋はこの結果を振り返り「完璧とまでは言わないが、59秒台でファステスト・ルーザーで残れるくらいのタイムは出ていると思っていました。北から強い風が吹くことを想定したライン選択をしていましたが、予想以上に風が穏やかでした。風の変化がもう1、2分早ければ、ラインを変える判断もできたと思うのですが、あのコンディションのなかで、風があることを想定したラインで飛べば、タイムが落ちるのは明白。特にゲート9でフラットターンをしたことで一気にタイムが落ちた。北風がないなかであれをやれば、少なくとも1秒はロスしますから。フライトの出来自体は悪くなかったです。」とコメントした。

今大会Team FALKENは12位に終わったが、かろうじて決勝ポイント2を獲得。合計55ポイントでワールドチャンピオンシップランキング3位に踏みとどまった。

次戦、9月7日8日に行われる母国戦・千葉大会が文字通りシリーズ最終戦となる。残りわずかな期間、Team FALKENは2度目のワールドチャンピオンタイトル獲得に全力を尽くす。