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2025シリーズ最終戦レポート|大阪うめきた ― 室屋、最後まで残したチャンピオンの可能性
首位で迎えた最終決戦
パトリック・デビッドソン選手(南アフリカ)に2ポイントの差をつけ、シリーズランキング首位で迎えた最終第3戦。予選ではアーロン・デリュー(オーストラリア)に及ばず2位となったが、5ポイントを加え差を4ポイントに広げた。
室屋とデビッドソンが準々決勝を突破すれば、準決勝で直接対決となる組み合わせ。室屋も「おそらくパトリックと準決勝で当たるだろうなとは想定していました」と語り、チーム全体がその瞬間に備えていた。
最終戦|予選放送
                          トラックレコードで準々決勝を突破
                          準々決勝・組合せ
準々決勝の相手はミカ・ブラジョー(フランス)。室屋は最初のハイターンでリードを奪うと、その後もターンごとに差を広げ圧勝。叩き出した60秒965はデリューの予選トップを上回るトラックレコードで、ここ一番の集中力と王者の存在感を示した。
一方、デビッドソンもベラルデを危なげなく勝利し、いよいよシリーズの行方を左右する準決勝――第3戦の山場となる、シリーズ王座をかけた直接対決が実現することになった。
準決勝 ― 痺れる直接対決
迎えたデビッドソンとの一騎打ち。室屋とデビッドソンは全く異なるアプローチでスタート。序盤のスラロームセクションでは室屋が0秒77のリードを築いたが、中盤のローターンでデビッドソンがGの消費を抑え、差を詰める。続くターンで逆転され、ゴールでは0秒43差で室屋が敗れた。
大阪・うめきたのパブリックビューイング会場で肩を並べてレースを見守った両者は、ゴールの瞬間に抱き合い互いの健闘を称え合った。全力を出し切った充実感を漂わせる表情が印象的だった。
望みをつなぐ3位決定戦
敗れたとはいえ、室屋にはまだ可能性が残されていた。3位を確保し、決勝でデビッドソンが敗れれば1ポイント差で逆転できるシナリオだ。
対戦相手は永遠のライバル、マルティン・ソンカ(チェコ)。序盤は僅差の攻防となったが、ソンカの大回りを突き差を広げ、最終的には4秒近い大差で勝利。室屋は3位を確保し、チーム全員で最後の望みを抱きながら決勝を見届けた。
決勝 ― デビッドソン、王座を掴む
決勝はデビッドソンとデリューの新世代対決。ルーキーながら驚異的な成長で2戦連続の予選トップというデリューは、デビッドソンにとっては少しも油断できない難敵だ。
序盤はデリューがリードするも、中盤のローターンでデビッドソンが逆転。そのまま63秒019でゴールし、第3戦優勝とともにシリーズ初タイトルを獲得。室屋のシリーズ2連覇への挑戦は、ここで幕を閉じた。
                          
                          最終決戦を終えて
室屋は「空気の密度が低い条件では不利もあったが、タイムを揃えられなかったのは自分に足りない部分。それでも、2戦連続でトラックレコードをマークしているように、機体の速さは十分ある。より安定して発揮できるようにトレーニングを続けたい」と語った。
テクニカルコーディネーターの中江雄亮も「悔しいが、勝ち続ける中では見えない何かに気づけるチャンスかもしれない。何が足りなかったのかを見極め、すでに次に向け動き始めています」とコメント。LPARチームは敗戦を糧に、早くも進化への歩みを始めていた。
2026年 ― 挑戦者としての新シーズン
室屋にとって2026年は、2019年以来となる“挑戦者”としてのシーズンとなる。デビッドソン、2年目のデリュー、そしてソンカら強敵が待ち受ける中、「ライバルは多いが、挑戦者として貪欲に勝利を追い求めたい」と語る。
全4戦に拡大する来季シリーズで、LEXUS PATHFINDER AIR RACINGがどのような挑戦を見せるのか。チーム一丸となった新たな戦いに、大いに期待したい。
Text by Tamaki Sakimura
                          最終戦公式結果
                          2025シリーズランキング公式結果
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