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2025シリーズ最終戦 予選レポート|AIR RACE X 2025
コース攻略と環境との戦い
シリーズランキング首位の室屋義秀が、2位デビッドソンに2ポイント差をつけて最終戦に挑んだ。舞台はエアレース初上陸となる関西・大阪うめきた。都市型デジタルレースの舞台として設定された。
レーストラックは大阪駅北側の「うめきた公園」に沿って南北に伸びるレイアウト。北側東端には高層ビルが迫り、越えると即失格となるデッドラインが設けられた。最速ラインを狙えばリスクは高まり、外側から入ろうとすれば越境の危険が増す。室屋は「理想のラインはごくわずかな幅しかなく、タイミングの遅れやブレがすぐに1〜2秒のロスになる」と分析。極めて精密な操縦が要求されるトラックとなった。
タイムアタック期間中、室屋の拠点・福島ふくしまスカイパークは天候不順と猛暑に悩まされた。低い雲で飛行が制限され、限られた時間を狙ってのアタックが続いた。気温上昇による大気密度低下はエンジン性能と揚力に影響。補正ハンデがあるとはいえ、実機のセッティング精度は勝敗を左右する要素となった。LEXUSテクノロジーによるセンサー群が優位性をもたらしたが、想定以上の気温上昇に調整は難航した。中江テクニカルコーディネーターは「苦労の多い対応だった」と総括する。
一方でパイロットへの補正は存在せず、操縦環境は過酷を極めた。エアコンのないコックピットは温室状態となり、フライト後にはスーツが汗でびしょ濡れになるほど。室屋は「水分量の低下が耐G性能や判断力に直結する」と述べ、徹底した自己管理で対応した。

予選の展開と勢力図
予選セッション序盤、ルーキーのアーロン・デルーが鮮烈なタイムを刻み、ベンチマークを打ち立てた。シリーズ参戦わずか3戦目にしてフォーマットへ急速に順応し、上位陣に迫る存在感を見せた。
対する室屋は「勝つだけ」と一言。ランキングトップとしての余裕と経験をのぞかせた。シリーズチャンピオン経験者デビッドソンも猛追し、予選から三つ巴の構図が鮮明となった。
関西初開催、それも大阪中心地という舞台設定がもたらす注目度は高い。室屋は「より多くの人にこのレースを見てもらい、ファンになってほしい」と語り、決勝への決意を示した。
シリーズ最終戦は、室屋の連覇をかけた一戦。2ポイント差のデビッドソン、勢いに乗るデルーを加えた三者による頂上決戦。大阪・うめきたの空で繰り広げられる勝負の行方から目が離せない。