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AIR RACE X 2024シーズン開幕 レース1まもなくスタート

5月10日(金)、待望のAIR RACE X 2024 レース 1が開幕する。5月19日(日)までの10日間、8名の選手が世界各地の飛行場で、磨き抜かれた操縦技術とレース機の迫力ある飛行を披露する。

シーズン開幕に先立ち、LEXUS PATHFINDER AIR RACINGがチームのホームベース「ふくしまスカイパーク」で記者会見を開き、エアレースパイロット室屋義秀が2024シーズンにかける意気込みを語った。

第1戦はリモートラウンド

今年はリモートラウンド2戦、デジタルラウンド1戦の計3戦が開催される。デジタルラウンドは昨年の渋谷大会と同じく、XR技術を用いてホストシティの街並みの中で観戦する。今年新たに設定されたリモートラウンドは、競技自体はデジタルラウンドと同じで、各選手が自分のホームフィールドで飛行しタイムを競い合う。またフライトの模様は大会の公式YouTubeチャンネルで無料観戦可能だ。

リモートラウンドではリアル観戦も重視している。室屋のホームフィールド、ふくしまスカイパークでの観戦も歓迎だ。飛行予定はレースチームの公式 X(Twitter)で公表していくので、タイミングが良ければ、迫力のフライトを見ることができるかもしれない。近隣のファンは気軽に、他県のファンもゆっくりとふくしまスカイパークを訪れてみてはいかがだろうか。

1周50秒の接戦コースで波乱の予感

コースは全長800m、5つのパイロンが左右に少しずつずらして並んでいる。室屋は「ラップタイムは50秒ほどと短い。トップから最下位まで1秒ほどの戦いになるだろう。上位選手でもワンミスで負ける」と語る。

大技のバーティカル・ローリング・マニューバー(VRM)では翼が10度傾いたら1秒のロスになる。0.1秒のリードをひとつずつ積み上げていく上位選手でも、たったひとつのミスで予選敗退することも大いにあり得るのだ。

各選手は10日間のレースウィーク中に、いつでも練習と本番の飛行ができる。飛行前に本番飛行を宣言したら、結果が悪くても撤回はできない。予選飛行は2回で、その都度タイムが公表されるため、各選手は1回目の結果を見ながら2回目へ向けた作戦を練ることになる。

予選結果によって決勝トーナメントの組み合わせが決定するのだが、その3回のフライト(準々決勝、準決勝、決勝)も実際にはレースウィークに行われている。そのタイムは期間中には「伏せたカード」のように隠され、5月26日(日)日本時間20時からYouTubeで配信される決勝トーナメントで勝敗が明らかになる。

ルーキーは初の女性選手、迎え撃つレジェンド

出場する8名の選手のうち、今回初参戦となるのはオーストラリアのエマ・マクドナルド。室屋と並ぶレジェンドパイロット、マット・ホールのもとで訓練を積んできた、エアレーストップリーグ初の女性パイロットだ。マット仕込みの飛行技術はもちろん、チームの総合力も高いレベルが期待できるルーキーだ。

もちろんマット・ホール自身、マルティン・ソンカらエアレースファン待望の選手達が顔を揃えている。レジェンドとルーキーの戦いから目が離せない。

チャンピオン室屋、連覇へ準備万端

そして昨年、エアレースX初代チャンピオンに輝いた室屋。身体的にも精神的にも、これまで積み重ねたルーティーンを続けることでベストコンディションを保っているという。

1戦のみ開催だった昨年と異なり、今年は3戦のシーズン全体でチャンピオンを決する。「1戦1戦確実に勝ちを取りに行くが、予選も決勝も全て優勝とはなかなかいかない。3戦優勝して1戦敗退しチャンピオンを逃したこともある。チャンピオンになるためには年間を通して常にトップ3にいることが重要だ。自分とチームの総合力をキープしていく」

LEXUSとの技術開発もさらに加速

LEXUS PATHFINDER AIR RACINGとして取り組んできた愛機Edge540 V3のパワーアップもさらに加速している。昨年はシートバックの改良や、秘密装備ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)などLEXUSの技術で、圧倒的な高性能を見せつけた。

LEXUSの「計測の匠」が室屋の身体を測定し、それに合わせて「シートの匠」が作り上げたシートバックは、室屋の背骨や骨盤を正確に保持し、反応速度を上げながらも体力消耗を減らすことに成功した。

「機体の性能アップだけでなく、パイロットの能力を引き出す改良で成果を上げることができた。コックピットに入ったら落ち着けるような空間づくりも研究していますね」

現在の機体は、外見的には昨年と大きく変わっていないが、HUDのソフトウェアなどの改良が進んでいる。

「極限状態の人間が、表示にどのような反応をするか。LEXUSの知見を取り入れながらアルゴリズムを改良しています」

2年目のAIR RACE X 。さらにスケールアップした「熱狂」を求めて、室屋とチームの挑戦が再び始まる。

 

会見動画