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2025シーズン第2戦 決勝レポート
完璧なフライトで今季初優勝!年間王者争いで首位に浮上

(c)AIR RACE X
予選はルーキーが席巻、AIR RACE X 特有の適応力が鍵
ルーキーのアーロン・デルー選手が57秒335のトップタイムを記録し、予選を制した。上位4名のうち、室屋選手を除く3名(デビッドソン選手、マクドナルド選手、デルー選手)はいずれも新鋭パイロット。予選から新たな勢力の台頭を印象づけた。
AIR RACE X 参戦2シーズン目のマクドナルド選手やルーキー、デルー選手の快進撃について、室屋選手は第1戦の時点でこう語っていた。
「最初からパイロンが見えないAIR RACE Xなので、これが当たり前という感覚になっているのが大きいんじゃないか。逆に、パイロンのある従来のエアレースを経験しているパイロットは、感覚の違いをアジャストするのに時間がかかっているのかもしれない」
実力がぶつかり合う2025年のAIR RACE X第2戦。室屋選手は決勝トーナメント初戦で、チェコのマルティン・ソンカ選手と対戦した。
新パーツ投入後の初レース、室屋がトラックレコードで実力証明

(c) Miho Harada PATHFINDER
ソンカ選手と室屋選手は、エアレース世界選手権時代から長年にわたりライバル関係にある。AIR RACE Xがスタートした2023年の記念すべき初決勝も、この2人の対決だった。今シーズンも第1戦の準決勝で顔を合わせている。
そして今回の準々決勝、室屋選手は終始スムーズかつ無駄のないラインで飛行し、57秒005というトラックレコードをマーク。これまでの記録を更新する会心のフライトでソンカ選手を圧倒した。ソンカ選手も敗者中最速の61秒105を記録したが、差は4秒以上。まさに圧巻の内容だった。
宿敵デビッドソンとの直接対決、勝負を分けた“ターン精度”
準決勝では、年間チャンピオン争いで現在首位のデビッドソン選手との直接対決に臨んだ。第1戦終了時点で10ポイントの差をつけられていた室屋選手にとっては、逆転への鍵を握る大一番となった。
予選で上位に入ったことにより、室屋選手はすでに8ポイント差となっていた。準決勝では両者ほとんど差のない飛行を見せたが、折り返しのターンに入るライン取りでわずかな差が生まれた。
G(重力加速度)によるエネルギーロスを最小限に抑えるスムーズなターンを重ねた室屋選手がリードを広げ、59秒493でゴール。デビッドソン選手に約0.4秒差をつけて勝利を収めた。新しいウイングレットの効果について、室屋選手が語っていた「0.1秒単位でターンが速くなる」という言葉を証明するような結果だった。

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ルーキー旋風の中で光る、室屋の安定感と戦術
決勝の相手は、予選トップのデルー選手。わずか2戦目にして57秒台のタイムを安定して記録する注目のルーキーである。予選・トーナメントともに高水準のタイムを並べており、決勝も接戦が予想された。
序盤の「スラローム」セクションから中盤のハイターンにかけては、両者ともに高精度なライン取りで互角の展開に。こうした拮抗した勝負では、ほんのわずかなミスが命取りとなる。
そのミスが、終盤にデルー選手に出てしまった。ローターンでラインが乱れ、次のゲートへの進路を一瞬見失うような挙動を見せてしまう。わずかなタイムロスながら、勝負に大きく影響する結果となった。
室屋選手は冷静に飛行を続け、57秒930でフィニッシュ。デルー選手は60秒568に終わり、経験の差が明暗を分ける展開となった。

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ポイント逆転で年間首位へ、連覇への最終決戦は大阪へ
今季初優勝を果たした室屋選手は、予選2位のポイントを含めて30ポイントを獲得。3位となったデビッドソン選手を総合ポイントで2ポイント上回り、ついに年間チャンピオン争いで首位に浮上した。
2025年シーズンの最終戦は、9月6日に開催される大阪・うめきたデジタルレース。AIR RACE Xとして関西初上陸となるこの地で、室屋選手、デビッドソン選手、そして快進撃を続けるルーキー・デルー選手による三つ巴のチャンピオン争いが決着を迎える。
一瞬のミスも許されない極限のレース、AIR RACE X。チームとして挑む、今シーズン最後にして最大の山場が目前に迫っている。
Text by Tamaki Sakimura
Rd.2 Finals 2025|The Biggest Turning Point in the Series| AIR RACE X

最終戦・大阪大会 予告動画